1300万円の家

昨日は、九州建築賞の受賞祝賀会に出席しました。

数年前にプロトハウスのプロデュースで石垣島に建てた「白保の家」

(設計/松山将勝)が見事に受賞したからです。

ホテルで催された華やかなパーティの席上、一本の電話が

かかってきて急ぎ会場の外に出た私は、電話の向こうの建主の声に

耳を立てていました。

「土地は○○に購入したのですが、家に予算がなくて・・・」

「いくらくらいの予算なのですか?」

「・・・それが、・・1300万円なんですが・・・それでも住宅は建てれる

のでしょうか?」

東京の建主では、土地に予算を使い過ぎてしまい、とても建物までは潤沢な

予算がないというのはよくあるケース。しかし、1300万円となるとなかなかに

厳しい状況が予想できます。

「延床面積は20坪でいい、工事に自分も参加していい、なるほど、なるほど」

私は建主さんの要望をヒアリングしながら、建具が一切ない、大きなワンルーム

のような箱の空間であれば可能性はなくもない、ただし建主が、建築家や

工務店の提案に素直に耳を傾けることができるか否かが大きなポイントです、

と話し、反応を見て、

「じつはそのような事例もあります。一度その内容を観てみませんか?」

と提案しました。

ちょうど今1700万円程で約25坪程度の住宅のプランを作成していて、

その概算工事費から建具工事、左官工事、内装工事を引くと残りが1300万円

台になるのでした。

この日の朝、久しぶりに電話で話したある建築家が、

「建築家は5000万円くらいの住宅を設計して、それ以下は設計しないほうが

いいんじゃないかと最近はそう考えるようになったんですよ」と呟いたのを

思い出しながら電話を切った私は、

まあ5000万円以下は無理というのはかなりオーバーだけれど、

3000万円程度でないと、ある程度内容を充実させた上で

設計料もきちんといただけるような建築家との家づくりは難しくなる時代がす

ぐそこまで来ているのではないかとふっと思いました。

少なくとも1300万円の住宅を建てるのに、どこから設計料を捻り出せば

いいのでしょう?

その答えが、私が進めているB&D住宅ですが、

建築家とビルダーが専門連携することで、工事費も設計料も低減しつつ

完成度を高めるという手法を極めていくというような

新しい仕組みをつくらない以上、2000万円前後の予算で納得のいく広さと

仕様とアフターメンテナンスと、そして肝心要の好みのデザインを実現した

住宅を建てることなんて不可能になると思います。

もちろん1300万円で内装工事までばっちり仕上がった住宅はできません。

むしろキットハウスのように、「内装下地工事までで完成」というような

新しい仕上リの提案をパッケージ化する必要があるかもしれません。

心理とは不思議なもので、「この予算ではここまでしか施工できませんでした」

と言うより、「このセットは内装下地までです。後の仕上は好きな自然素材を

使ってじっくりとどうぞ」と言った方が、同じ工事内容でも満足度は大きく

異なります。

コストダウンしながらデザインも仕様もある程度の満足度を実現するためには、

従来ながらのローコスト住宅のノウハウに止まらず、

設計と施工の関係にまで大鉈を振るうコトが肝要と思います。

1300万円の家も5000万円の家も、それを建てたいと願う建主の願いは同じ。

ただしそれを実現するにはそれなりに手法は異なり、それにつれ、

建主の決断や動きにも違いが求められます。




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by yawaraka-house | 2009-06-06 22:12