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ドラマの必然性

ドラマは筋と登場人物が在ってはじめて成立します。

筋だけではダメ。筋はシナリオと思われがちですが、深い意味で

シナリオはドラマを指すもの。すなわちシナリオも登場人物の

キャラクターが重要な役割を果たしていくものだと思います。

建築家との家づくりでも同様で、よくある話が、建築家には出会うべくして出会っ

たものの、その先で工務店選びをしようという段階になって「本当にこの工務店で

いいのかな?」という疑問符を感じてしまう施主が多いのです。

つまり、家づくりというドラマにおいて「出会うべくして出会った工務店」

という必然性を感じない方が多いということ。

プロデュース会社の中には地域をエリア制にして工務店に振り分けて

イベントを開催し、施主と建築家を引き合わせるまではいいのですが、

いざ工務店が見積もりをするという段階になって「えっ!工務店1社だけなの?

それって俗にいう紐付き?」と施主が失望し家づくりの話そのものが空中分解して

しまうケースもあります。この場合に施主落胆を誘っているのが

「この工務店がいい」というドラマの必然性を

全く感じていていないという事実です。

このケースだけでなく、家づくりドラマの必然性として工務店が登場するシーンが

うまく描けていないのが今の家づくりの実情のように思います。

この必然性の描き方の一つに、B&Dスタイルの家づくりにおけるモデルプラン住宅

の開発があります。その施工や温熱環境の造り方に「その工務店ならでは」という

ドラマの必然性を挿入していくのです。それでも、なかなかその必然性を描きにく

いという場合もあります。「どんな家でも造ることはできるが、特にこれといった

こだわりはない」という工務店も多いのです。ただし、よ〜く話を聞いていくと

それなりのこだわりが垣間見えてくるので、その一つひとつを整理して

シナリオの中にきちんと配置することで工務店の役柄そのものが浮き上がって

くるということもあります。

人はドラマの進行に違和感を覚えると、なんとなくその話をウソっぽく

感じるものです。またはそのドラマの登場人物としての自分を甘受できず

挙げ句の果てにはそのドラマからの離脱を決意するに至ります。

先述のエリア制工務店という登場人物に違和感を覚えて空中分解した話のように。

「北の国から」がその世界観とそれをやわらかく構成するキャラクターたちから

成り立っていたように、「七人の侍」が荒れ狂う時代の雰囲気と強烈なキャラク

ターたちによって成り立っていたように、

どんな家づくりにも、それにふさわしいドラマとキャラクターが必要で

そこには出会うべくして出会った必然性が生まれています。

私は、いつも、この必然性を大切にして家づくりをコーディネートしています。



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by yawaraka-house | 2010-09-30 17:51