豊かな選択肢/いい家づくり100選 -1- 家づくりの目的は無限大

◎「基礎知識」編

<家づくりを楽しもう>/家づくりの目的は無限大
 

家づくりの目的は、無限大だ。
 
その大筋は「住むため」なのだが、戦後の初めの頃までは昔ながらの分家や独立という道筋を経て、つまり、

本家との間で生じた葛藤や援助という人間臭いドラマの果てに我家を建てる人たちが大勢居た。

またその後の高度経済成長期には、「労働力の定住のため」に、国の施策とも連動するように、バタバタと都

会の新居に移り住む人たちが居た。その後も年間で100万戸以上ともなる新築住宅が建ちつづける中、そこ

には数え切れない「家づくりの目的」が在ったはずだ。


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昭和30年代から日本が経済的に豊かになっていく時代のことを想像すると、「力道山が外人レスラー相手に

空手チョップをお見舞するテレビのプロレス中継を隣近所と一緒になって楽しむ」という、とてもシンプルな家

族の姿が浮かぶ。このイメージは、数え切れないはずの「家づくりの目的」を、「幸福な家庭を築くため」という

一言に置き換えることができるような錯覚を与える。

日本人は元来、勤勉にして従順、そして柔軟に異文化をも許容する民族だから、この辺りから登場するハウ

スメーカーのコマーシャルが、年間100万戸規模の新築住宅の建築を、上手い具合に後押ししたのだろう。


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昭和32年生まれの僕が思い出す光景は、我家の二間繋がりの大きな和室にやってきたカラーテレビを、お

隣の瓦工場兼住宅に住む友達と一緒になってやや興奮ぎみに観ていた場面や、庭にあった豚小屋の瓦屋根

の上で実った斑模様のカボチャや、物置きの柱に小刀で彫った1969という数字で、そんな光景の断片を一

掃するようにホンダライフを運転する父が住宅の正門から怒濤のように敷地内に車を乗り入れる映像が挿入

され、この思い出の光景は、ビビッドな昭和生活色に満たされるのだった(ちなみに、父が怒濤のように車で乗

り付けるのは夕方の相撲中継を観るためだった。つくづく幸せな時代だったと思う)。
 

確かに、あの頃の日本は、とてもシンプルに元気だったような気がする。池田内閣が掲げた「所得倍増計画」

という甘い夢に向かって、日本国民が邁進していたのだろう。


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そんな・一見シンプルな・時代から時は移り、現代社会では家づくりも多様化した。その目的も様々な様相を

呈する。それでも、僕が運営するプロトハウス事務局を訪れる建主さんの家づくりの大半は、人生の節目を契

機とすることが多い。これから子育てが本格化する家庭では、「子どもが小学校に上がる前までに」という理

由が、建主の口から最もよく語られる。しっかりと居を構え、落ち着いて子育てをしたいという親の希望が「家

づくりの目的」と見事にオーバーラップする。そんな家族にとって、世界の中心には、子どもたちの笑顔が輝い

ている。


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子育て真只中の家族とは異なり、定年退職を迎え第二の人生を楽しもうというご夫婦や、一生独身を決め

早々に独り暮らし用の都会型マンションリフォームを希望される方、口げんかでバトルを繰り返しながらも二

世帯同居住宅を希望する親子、モダンでかっこいい住宅をデザインする建築家に設計依頼をすることに憧れ

るディンクスも居る。


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ある日、圧縮ソフトの開発で莫大な財産を手にしたと語る少年がやってきて「風洞実験室」のある家を建てた

いけど、そんな家を設計した建築家がいますか?と聞かれたこともある。未来の夫を同伴して来場された御婦

人は、現在の夫の部屋も含め、それぞれの等分された居室が3室ある住宅の設計を希望された。
 

家づくりは人生そのもの。まさに多様化している。僕が今さら声を大きくするまでもなく、それは無限大の可能

性を秘めているのだ。


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次回予告<家づくりを楽しもう/「起業する家づくり」が増えてきた>

by yawaraka-house | 2012-05-28 14:36 | 豊かな選択肢/いい家づくり100選