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オープンハウスの出会い

昨日はプロトハウスでプロデュースした住宅のオープンハウスだった。
Oさん、おめでとうございます。

墨入りモルタルの土間と太鼓貼りの障子、琉球畳の1階和室が、なかなか良かった。
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若い建築家たちの交流も良かった。
このO邸を設計をした松田くんも結婚していて、若い奥さんが来ていた。
松田くん、おめでとう。
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紅いベニヤの建具とその向こうのスチール手摺のシンプルな階段。
いいデザインです。
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でも一番感心したのは、この幅木。
施工をした筑羽工務店さんの標準仕様。
床材と同じ松材の幅木は、壁の下地材にスライドして潜り込んでいる。
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住宅は、使い手と描き手と作り手の共同作業だ、とつくづく思った。

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by yawaraka-house | 2008-06-30 00:56

建築家VS工務店 or 建築家&工務店

 このところ、建築家住宅の見積もり調整に膨大な時間がかかるようになっ
た。初回見積もり時において工務店が提出する見積もりが建築家の想定を遥
かに超えているケースが多いため、その後の調整に手間取るのだ。

 原因は二つ考えられる。

 一つは昨今の建築資材の高騰。これにはガソリン価格の急上昇も関係して
くる。設計には少なくとも6ヶ月(正式に調査してみたら、平均でなんと7
.77ヶ月だった!)は要し、中には1年以上もかかっているケースもあるの
で、そうなると1年前に建築家が「これくらいの予算で行けるでしょう」と
言った工事費がただ単純に値上がりしてしまっているということもある。

 もう一つの原因は、建築家と工務店との間にある工事費の積算についての
認識のズレがあるように思う。工務店の言い方をすれば、「この設計をこの
予算で施工しろなんて土台無理な話だよ!」というわけだ。

 以前プロトハウスに登録していた工務店は薄利で建築家の仕事を受け過ぎ
て自転車操業に陥り、その悪循環から抜け出すのに相当の期間を要したとい
う。中には建築家との仕事に嫌気が差して「もう建築家住宅の施工は受けた
くない」という工務店もあるほどなのだ。私はそんな工務店の本音を聞くに
つれ、(建築家住宅の施工をお願いしている立場から)非常に申し訳ない気
持ちになりながら、宮崎県の知事ではないが「どうにかしなくてはいけない」
という思いを抱くようになっていった。

 腕が良くて評判の工務店に聞いても、建築家住宅の施工によって得られる
粗利益率は13%程度という。例えば2200万円の工事費であれば、286万円
の粗利益となるが、これを施工期間の6ヶ月(平均的な建築家住宅の施工期
間は延床面積30〜40坪としてこれくらいだ)で割ると1ヶ月平均で約48万
円が人件費や材料費をさっ引いた残りとして計上できる数字になるのだが、
2200万円というリスクを背負うその代償として月々手元に48万円が残る仕
事が果たして“いい商売”か否かは誰にでも簡単に想像できることだろう。

 このような建築家と工務店の認識のズレから生じる建築工事費の積算時に
おける膨大な時間の浪費をなんとかしようと、「かかるものはかかる」とい
う認識も手伝ってか、最近では「やはり僕の設計では坪に換算すると結果的
には80万円から90万円はかかりますね」と正直に口にする建築家(この場
合は東京)も増えてきたが、相変わらず「そうですね、東京だと坪70万円
くらいから、地方だと坪60万円くらいでしょうか」と“営業”する建築家もい
るので、私は悩ましく思えて仕方ないのだった。

 それがもし“営業”だとすれば、このような“営業”は工務店だけでなくその
建築家自身の首を絞めることになる。あまり工務店の善意に甘えてばかりい
ては、そのうちその建築家の仕事を受けてくれる工務店が存在しなくなるか
らだ。そうなればあまりに悲しい。建築家も何も悪気があって工務店を叩い
ているのではなく、自分の職務とポリシーにあまりにも忠実に業務(見積も
り調整)を行ったがゆえの結果であり、その工務店の腕が良ければ良い程、
どこかで良心の呵責を感じているはずだからだ。

 建築家と工務店の間にある工事費に関する認識のズレを解消する努力をす
るところから建築家VS工務店という対立の図式が変わる、と私は信じている。
その一つが前述した工務店の積算を尊重するやり方で、坪単価に表すと建築
家住宅を相応の価格帯に位置づけるという方法だ。

 だがこの方法だけでは、建築家住宅が単なる高額商品になってしまう可能
性がある。今でも時々建築雑誌が特集するが、あの魅力的な「1000万円台
で建つ家」「ローコスト住宅」というフレーズが現実的な色彩を帯びなくな
るというわけだ。

 そこで考えられるのが建築家と工務店の連携による『適正価格住宅』の誕
生だが、これを実現するには難問が山積している。だが、これを実現しなけ
れば、誰もが「デザインされた空間を楽しむ住宅」を“スタンダードな気分
で”手に入れることができなくなってしまう。

 日本にはデザインセンスのある建築家と腕のいい工務店が充実している。
それが反目し合うようでは、もったいない。これからは専門連携する時代だ。
建築家VS工務店ではなく、建築家&工務店、または工務店&建築家(B&D=
ビルダー&デザイナー)の構図になったときに、日本の家づくりは大きく進
化する。

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by yawaraka-house | 2008-06-23 09:20

家を建てて、山に登る。

再び、前田由利さんのご自宅にうかがった。
梅雨の晴れ間。本当にその隙間の青空がやさしく迎えてくれた。
はじめてこの家に“登った”時同様、ぐんぐんと胸が天に向かって感動。
あのときは「家を建てて山をつくる」というキャッチフレーズが浮かん
だが、今回は、「家を建てて、山に登る」というフレーズが自然に浮かぶ。


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草屋根からすぐ傍の公園が見えた。

ここからは草屋根図鑑!!!!!

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まさに、風、自然体。

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by yawaraka-house | 2008-06-15 23:39

オープンハウスで長居したくなる家

 昨日、「夢の扉」というテレビ番組で治療用の枕を推奨している整形外科
医のことを紹介していた。正しい枕にすればそれは治療器具になるので、肩
こりや首こりに効果的だとドクターが話していた。人は一日のうちの6時間
は睡眠に時間を要する。その6時間を、体に負担がかかる枕にするか、体に
負担がかからない枕にするかで、そこには大きな違いが生じると言うことな
のだ。

 テレビでは簡易的な治療枕の作り方を紹介していたので、さっそく試して
みた。座布団(使い古した綿が固まったやつ)とバスタオルを使った簡易的
な物だが、藁にもすがる思いで私も作ってみた。そう、私も重度な肩&首こ
りの持ち主なのである。

 そして今朝、目が覚めると、その効果はてきめんだった。いつもならば首
から肩にかけて重い鉛を乗せているような鈍い感覚があるのだが、それがな
い。すっきりとしているのだ。すごい!! これを毎日続けたら、つまり一
日6時間の枕治療をずっと続けたら肩&首こりはなくなるかも?! と思う
とブルーマンデイ(本日は月曜日)の灰色気分解消とともに、明るい未来が
垣間見えてくるのだった。

 一日6時間でこうなのだから、一生住み続けることになる家が体に与える
ダメージなり効果なりは相当なものになるはずである。

 この枕治療を体験して私が思い出したのは、オープンハウスの際についつ
い長居したくなる家のことだった。
 オープンハウスとは、新築の住宅が完成した際に建主さんのご好意を得て、
これから住宅を建てようと計画している方々にその住宅をお披露目する会の
ことだが、家づくりコーディネートという職業に就いている私は有り難いこ
とに数えきれないくらいのオープンハウスに参加させていただいた。

 人気のある建築家のオープンハウスになると来場する人の数も多く、2〜
3百人が足を運ぶこともある。平均すると50人くらいは来場するだろうが、
これから家を建てる人は皆さん真剣な眼差しで空間や室内のディテールなど
に見入っているのだった。

 受付で記名を済ませ、玄関で靴を脱いで室内に上がると、そこには建主候
補者や未来の建築家たち(ここは設計事務所勤務の若者や建築やインテリア
に関する学科に席を置く学生たちの学習の場でもある)が大勢集まって念入
りに検分をはじめているのだが、いい家(と私が思っている家)は、どこか
しらに人溜まりができており、そこに人は集まって座り込み、日なたぼっこ
や井戸端会議や何がしかの情報交換などをしているのだった。

 オープンハウスには長居したくなる家と、あまり長居できない家があった。
あまり長居できない家は、白く冷たい床や閉塞感のある空間プランで構成さ
れた家が多く、今年で51歳になる私には生理的にも心理的にも居心地があま
りいいものではないことが多かった。そんな住宅の場合は、一通り見学を済
ませたら建築家に挨拶をしてサッと引き上げるようにしている。だが、そん
な家に限って有名な建築雑誌の編集者が取材に来ていることも多く、その度
に「住宅のデザインって何なのだろうか?」と首を捻ることになるのだった。

 それに比べ、オープンハウスで長居したくなる家は、いろんな箇所に思わ
ず座り込んでしまう居場所のある空間になっていた。自然の陽光がやわらか
く落ちてくるリビングや緑が映える開放的な和室、都会の真ん中なのによく
ぞここまでさわやかな気分にさせてくれると感心させるデッキテラス、親子
の交流基地になるワークコーナー、家族が集えるカフェのようなオープンな
キッチン等々、そこには人を引きつける居場所としての雰囲気があふれてい
るのだった。

 オープンハウスで長居したくなる家の代表と言えるのが前述した「草屋根
の家」の建築家・前田由利さんの家だろう。2〜3百人の人が、屋根に庭を
設けた前田さん設計による住宅を見学にやってくる。そしてほとんど人が口
を揃えてこう言うのである。「へえ〜気持ちいいねえ、草原に来たみたい!」

 そのような長居したくなる家には、日本人が求めている住み心地のいい住
宅の原点があるのだと私は感じている。神道を今もどこかしら心の拠り所と
する日本人は、元来、八百万の神々を信仰する自然信仰が心に宿っているか
らこそ、地鎮祭で地を鎮め、神棚に祈るのだろう。それは祖霊信仰とも重な
って森羅万象に魂が宿るというアニミズムにも繋がっていくのだろうが、家
のいろんな場所にも、自然の神様を発見することで日本人は落着きを得るの
ではないだろうか。草屋根などはまさしく野の神、山の神が宿る住処として
安らぎを与える。陽光からは光と影の天使が舞い降り、風は果てしない地球
の物語を語りかける羊皮紙の役割を担うのだろう。

 枕治療によってすっきりとした爽快な朝を迎えた私は、そんなことを考え
た。一生を過ごす空間だからこそ、体に負担がないほうがいいに決まってい
る。それが日本人の原始的なニーズなのではないか。そのニーズをデザイン
することが大切だと思う。少なくとも私は、オープンハウスで長居したくな
る家にこそに住みたい、と思う。

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by yawaraka-house | 2008-06-09 15:56

『ハードな家』、住めますか?

 私がこれまでにコーディネートした住宅や縁あって拝見させていただいた
建築家住宅の中には、私だったらとても住みこなせないなあという印象を抱
く『ハードな家』もあった。その多くはモダン住宅だったが、私だけでなく、
建主もその印象を抱くこともあったようで、住宅が完成して間もなく、何ら
かの問題が発生するということもあった。

「暑くて住めない」「配偶者がこの家には住みたくないと言っている」「◯
◯◯が丸見えなので目隠ししたい」「庭で土砂崩れが発生した」「雨漏れが
発生した」・・・・・等々、決して建築家住宅に限ったことではないはずだ
が、フルオーダーで建設したはずの建築家住宅でさえも、このような問題が
起る可能性があるのだった。

 では、なぜこのような問題が起るのかと言えば、その原因の多くが、建主
と建築家のコミュニケーション不足に起因していたように思う。

「暑くて住めない」家の建主は、設計途中で建築家からその家の特色を聞か
されたがうまく理解できず、また、常識的に考えてこんなことはないだろう
と判断したその常識が、建主と建築家では随分と隔たりがあった、というこ
とである。同様に、「配偶者がこの家には住みたくないと言っている」建主
は、建築家とその配偶者が盛り上がって住宅プランが練られていったがもう
一人の配偶者の体調や精神状態がそれについていけず、取り返しようのない
不満が蓄積したのだった。「◯◯◯が丸見えなので目隠ししたい」建主は建
築家には内緒でその目隠しリフォームを工務店に依頼した。いずれもが「こ
んなはずじゃなかった」という建主の悔いがクローズアップされる結果を迎
えたのだが、建築家にしても「こんなはずではなかった」=「きちんと説明
していたはずなのに何故?」という悔いが残っているのである。

 このような結果から浮かび上がってくる課題は、建主と建築家がどうすれ
ば理想的なコミュニケーションを取ることができるかということだが、これ
にはお互いが円滑なコミュニケーション促進のためのスキルを身につける必
要があると思われた。俗に「口が上手い」というが、相手を口車に乗せて説
得する素晴らしくも一方通行のプレゼンテーション型コミュニケーションで
はなくて、本当にお互いの心底のニーズを確認し合えるようなコミュニケー
ションが必要なのだと思う。

 このコミュニケーションをきちんと図るためにも、住宅づくりの中には予
測不可能なことが起こり得るという情報開示も必要になってくる。

「庭で土砂崩れが発生した」建主の場合がまさにそのケースだが、その土地
で土砂崩れが発生することなど誰にも予測できなかったのである。それは一
般的な住宅地ではあったが、山を切り崩したような住宅密集地の残された一
区画であり、どうも先に建っていた他の住宅からの雨水が流れ込む沢が自然
に形成されたいた節がある。そこに家を建てたものだから、自然の雨処理が
できなくなり、庭に溜まった雨水が容量オーバーになった時に土砂崩れが起
ったのだった。建築家ならばそれくらいのこと知っておけ! という厳しい
お声がかかるかもしれないが、よほど崖地や傾斜地の建築に詳しい人でない
限り予測不可能だったと思う。この予測不可能が実は「雨漏れ」でも起こり
うる。経験豊富な腕のいいことで知られるある工務店の社長が言っていたが、
「自分でもどうしてだか解らない雨漏れを一回だけ経験したことがあるんだ
よなあ。施工はばっちりなんだけど、どうしても雨漏れする。しょうがない
からぜんぶやり直したけどさあ」腕前+男気+経験と三拍子揃った工務店で
さえそのようなリスクを抱えているのである。

 このようなリスク情報をお互いに確認(学習)した上で前に進めたい家づ
くりだが、合理化された多くのハウスメーカーはそのようなマイナス部分は
おくびにも出さず各社の住宅のメリットばかりを宣伝するものだ。だが、こ
のリスク情報を開示することで、本当のリスクに備えることができる。要は、
いざ何事かの問題が発生した時点でのアフターケアがきちんとできる人間関
係ができているか、ということである。

 「このデザイン好き!」と感じさせる建築家に設計依頼をしてそのまま上
手く住宅が完成すればそれに越したことはない。だが、いくらデザインが好
きでも相性が合わなければその建築家に設計を依頼するのはやめたほうがい
い。パーフェクトな住宅はない。何らかの問題が発生する可能性はどんな住
宅でも持っている。大切なのは、自分が付き合っている相手が、そのときに
気持ちよく相談できる建築家であり、工務店であるか、だ。建築雑誌ではわ
ざわざ建築家のマイナス面を掲載することはない。特異でユニークなデザイ
ンをした住宅ばかりを掲載する建築雑誌は、一般の家づくりを求める方の役
には立たない。あれは建築としての住宅を、その新規性や創造性を評価する
ものであって、住宅の居住性や生活機能性とは直接的に結びつかないケース
が多いと思う。ユニークなデザインでは快適な住宅にはならないと声を高め
ているのではない。私自身、そのようなユニークな形状をしたモダン住宅を
コーディネートしてきたが、建主さんたちは皆大満足している。問題は、相
性と満足度にある。人は「そのデザインが好きか」という問いには即答でき
るだろうが、「そのデザインがずっと好きか」という問いには確信的には答
えることはできないだろう。何故なら、人の嗜好は変化するし、人は学習す
ることでより豊かな暮らしを志向するようにもなるからだ。満足度は進化す
る。おしなべて全てに満足をできる住宅をつくるのがほとんど不可能なよう
に、その進化に適応する住宅をデザインするのは至難の技である。

 私は今、私がこれまでにその家づくりをコーディネートした『ハードな家』
のことを顧みるとき、建主のニーズや満足度の度合いに応じて、より選択肢
のある『やわらかな家づくり』の提案が必要であると感じている。そこでは
私たちからの情報発信とは別に建主がある一定レベルの家づくり知識を学習
することも重要である。例えば昨今テレビCMで当たり前のように連呼され
る「外張り断熱」の断熱材の多くが石油系の材料であり、将来的な解体時に
産業廃棄物になることを事前知識として知っていれば、エコ活動推進者はそ
の選択に躊躇するかもしれない。人は知ることで、豊かになり、より満足度
の高い選択ができるようになるものなのだ。

 「住み心地がよくてデザイン的にもユニークで面白い家」をつくることが
できれば、それこそ理想なのだが、それは結構難しいのである。

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by yawaraka-house | 2008-06-02 15:56