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コミュニティづくり

家づくりには、コミュニティづくりの視点が必須だと思う。

家族という小さなコミュニティづくりと、

そこに住む家族とつながる地域や友人知人などとのコミュニティづくり。

家族の関係性を深めるという点では、

最近の家づくりでのコミュニティの創造活動は一般化していると思えるが、

地域との関係性ではその実現はなかなか難しいのが現実だと思う。

どうしても、住宅の内側でのみ住まい手の要望を叶えることに専念しがちに

なるからだ。外側との関係構築にまではなかなか思考と予算が及ばない。

最近進めているプロジェクトでは、家の中から広がる庭を内庭と呼び、

外部と住宅との柔らかな関係を造る庭を外庭と呼んで、

街区づくりの規範となるような外溝計画を提案してみた。

2011年は、都内の集合住宅の企画と、屋上緑化のあるアパートメント企画の

二つで、コミュニティづくりを進めることになった。

コンセプト立案及びデザインで留意すべきは、開発だけでなく、

その維持にはどんなシステムやマンパワーが要るかということだ。

私は最近、そこで暮らす人々の生活シーンを想像してウキウキしている。

それはアクティブで農的な暮らしだが、人間が求める生理的な普遍性に

も応えることにも重きを置きたい。

普遍性に基づいている以上、ニーズもきちんとそこに在るからだ。

賃貸住宅の場合は、特に、このコミュニティづくりの視点が不可欠だと思う。

オーナーの方々に心がけてほしいのは、「単なるコンクリートの箱」を

「利回り」という蜃気楼のようなマヤカシの上に

造ってはならないということだ。

ただの箱は、「もっと」という新しさや賃料には負けるので、

ほんの数年もすれば競争力を失うが、

うまく運営維持されたコミュニティは、ファンを創るので、

次の住み手を連れてくる。

「いつかはあのアパートメントに住んでみたい」と、そのコミュニティに

興味のある人は常に「空き」を待っているわけだ。

それだけ魅力的なシナリオを書くことが、

コンセプトとデザインにかかっている。

未来のその住居で誕生する様々な感動のシーンを思い浮かべるのが

年末の私の愉しみだ。

紅白を観ながら、除夜の鐘を聞きながら、初詣に向かいながら

人々の暮らしを想う。

プランナーというヤツは、そうやって、いつもデュアルライフを生きている。




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by yawaraka-house | 2010-12-25 16:08

学びながら造る家づくりのススメ

理想的な家づくりについて、専門的な知識を教えてくれる学校はない。

だから、多くの日本人は家づくりの本質と段取りを忘れている。

一昔前までは、地域には棟梁が居て、

村民総出で棟上げをするという光景があった。

今このような話をすると、訝しがられる。

話をしている私の記憶も既に朧げなのだ。

だから正確には「そういう光景があったように記憶している」

と言わざる得ない。

最近よく、エコハウスを造る地方の工務店と、弊社の家づくりを比較して

家づくりを依頼しようかどうかを検討される方がいらっしゃる。

十年近く前は大手ハウスメーカーとの比較だったが、心あるユーザーの

環境意識もずいぶん進化したものだと心強く思う。

しかし「未来は明るい・・・」などと喜んでばかりもいられない。

やはり仕事は仕事として、きちんと引き受けていかないことには

一つのビジネスモデルとしても成り行かないからだ。

そんな環境意識の高い方が思い至る比較のポイントが「理想的な温熱環境は

いかにすべきか」という問題だ。ある人は「断熱材がこれでいいのか」で

悩み、ある人は「太陽光はアクティブに利用するのがいいのかパッシブが

いいのか」で頭を抱えているのだが、いずれも行き着く先は「いかなる

温熱環境システムを採用するのか」という問題である。

そんな方々の悩みを前にして私がよく言うのが「日本の気候風土を考えた

場合、そしてそれがますます亜熱帯化している現状を考えていくと、

雨への対策、またその先にある湿気との付き合い方を忘れてはいけない」

ということだ。いわゆる調湿こそが生理的な「気持ちいい」の決定打だと

お話している。

さらに、「思うようなデザインがなされていなければ心理的な“心地いい”

という満足度も獲得はできない」ことを伝える。

つまり理想的な家づくり手法を「気持ちいい」「心地いい」という二つの

キーワードにそくして学んでいただいているわけだ。

そしてこう説明する「もう一つ基本的に大切なキーワードがあります。それが

“質がいい”ということ。これはご検討中の工務店さんもきちんと備えて

いらっしゃるので安心できると思います」と。

こうやって、家づくりに必要な、心地いい、気持ちいい、質がいいという3つの

お話をして求めていらっしゃる住宅の全体イメージへとアプローチしていただく

ように心がけているのだ。

時にはワークショップを開き、インクルーシブデザインの手法で

建主の心の中に眠っている本当のニーズを一緒になって発見する。

そのニーズやアイデアをビジュアル化するのが、建築家のデザイン能力だ。

プロトハウス事務局では、

建主と建築家、工務店、それに私たち家づくりコーディネーター、さらに

同じくして家づくりを進めている他の建主さんや建築家たちが総出で

家づくりを進めている大きな光景を描き出している。

一昔前はなかったインターネット環境がそれを可能にしているのだと

思う。それはおそらく“特別な”成果だが、それがごく当たり前に

なれば理想的だと思う。

みんなで学びながら、それそれが自分に最適な家づくりの方法や

在り方、システムの組み方を感じ取っていってほしいと思う。

そういう意味で、私はいつまでも一人の平凡な建主でありたい。

その視点を忘れてはならない、と思う。

心は常にニュートラルであるべきだ。それぞれの個性豊かな家づくりを

学びながら進めていただくために、いろんな価値観を尊重したい。

一つだけの価値観を押し付けることに、私はあまり興味がない。

人は自分の価値観で良と判断した人生しか生きることをしない。

その幾多の人生をサポートすることにこそ興味がある。

根底でこんな風に私が考えるのは、きっと学生時代に芝居のシナリオを

書いていたという背景があるからだ。

人生の素晴らしい登場人物たちへ、敬意を表して。




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by yawaraka-house | 2010-12-12 12:30

九州大学で講義をしてきました

本日は九州大学で講義を行う日でした。

準教授の平井先生から依頼を受けて今までにも何度か講義をしています。

今回、私が提示したテーマは「<こんな家に住みたい>を考えよう」。

弊社の建築家コースで建てた家とB&Dスタイル・モデルプランコースで建てた

家の実例などを紹介しながら、

今の日本の家づくりの現状と課題を話し、

最後に<こんな家に住みたい>と感じる平屋の住宅プランを学生に

考えてもらうミニワークショップを行いました。

講義を聞く学生の半数近くが外国人なので、平井先生が通訳をしながら

講義は進みます。

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プロジェクターで住宅の実例を示しながら、

最初は細かく解説をし、その後はできるだけ学生に考えさせる

ように解説を少なく、彼らへの質問を多くするようにしていきます。

なぜか日本人の学生からはほとんど質問がなく、

外国人の学生からたくさんの質問が寄せられます。

「ユーザーといっしょに考える」のと「ユーザーのために考える」のと

違いはあると思いますか?などというシンプルだけれど

的を得た質問をはじめ、ユーザビリティに関しての質問を多く受けました。

この講義はインクルーシブデザインの視点に基づくもので、

平井先生はその第一人者。共にインクルーシブデザイン研究所を推進している

仲間です。私もアドバイザーで参加しており、

そのご縁で講義を開いているのです。

質問が多かったのと、通訳にどうしても時間がかかるので

ミニワークショップがすこし中途半端に終わってしまったのは残念でした。

しかしみんないろんな「こんな家に住みたい」デザインプランを描いて

いました。

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このようにして人に何かを教えるために自分の考えをまとめる

作業は普段の仕事にも多いにフィードバックできるものです。

今回、建築家コースで建てた家とB&Dスタイルで建てた家を比較してみて

あらためてその違いが理解できました。

当然ながら、設計監理を行う建築家コースは施工の完成度が高く、

設計の独自性や意図も明確になっています。

それを突き詰めていけば、その先にはおそらくアートがあるのだろう、と

講義をしている私は語っていました。

普段からなんとなく勘づいていたことが明確な表現になった瞬間です。

今回ご案内した建築家コースの実例が高木正三郎さん設計によるもの

だったから特にそうなのかもしれませんが、

建築家コースでは建築家の感性がフルに発揮でき、その感性にそって

完成度を高めそれを研ぎすませていくので、人間の個としての

感性の最高表現であるアートに近づくのは至極当然のことなのかもしれません。
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高木さんの設計によるU邸は、外観も土間もキッチンも、構造の柱も、手作りの

感性があふれて、アートそのもの。

この個性をB&Dスタイルのモデルプランにするのはかなり無理があります。

逆を言えば、このような個性的な空間を手に入れるには

やはり建築家の強いリーダーシップが必要だということです。

しかしそこには一般的な概念での温熱システムや構造の考え方は介入しにくい

という課題も残ります。もちろん施主がそのリスクをすべて理解していれば

当面の問題はないのですが、それでも将来的なリスクは残るのです。

そこまで開いたコミュニケーションが行われた上であれば、

アートに近づく家づくりもきっともっと広がっていくことでしょう。


今回の講義ではこんな気づきがありました。


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by yawaraka-house | 2010-12-02 16:20