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学びながら造る家づくりのススメ

理想的な家づくりについて、専門的な知識を教えてくれる学校はない。

だから、多くの日本人は家づくりの本質と段取りを忘れている。

一昔前までは、地域には棟梁が居て、

村民総出で棟上げをするという光景があった。

今このような話をすると、訝しがられる。

話をしている私の記憶も既に朧げなのだ。

だから正確には「そういう光景があったように記憶している」

と言わざる得ない。

最近よく、エコハウスを造る地方の工務店と、弊社の家づくりを比較して

家づくりを依頼しようかどうかを検討される方がいらっしゃる。

十年近く前は大手ハウスメーカーとの比較だったが、心あるユーザーの

環境意識もずいぶん進化したものだと心強く思う。

しかし「未来は明るい・・・」などと喜んでばかりもいられない。

やはり仕事は仕事として、きちんと引き受けていかないことには

一つのビジネスモデルとしても成り行かないからだ。

そんな環境意識の高い方が思い至る比較のポイントが「理想的な温熱環境は

いかにすべきか」という問題だ。ある人は「断熱材がこれでいいのか」で

悩み、ある人は「太陽光はアクティブに利用するのがいいのかパッシブが

いいのか」で頭を抱えているのだが、いずれも行き着く先は「いかなる

温熱環境システムを採用するのか」という問題である。

そんな方々の悩みを前にして私がよく言うのが「日本の気候風土を考えた

場合、そしてそれがますます亜熱帯化している現状を考えていくと、

雨への対策、またその先にある湿気との付き合い方を忘れてはいけない」

ということだ。いわゆる調湿こそが生理的な「気持ちいい」の決定打だと

お話している。

さらに、「思うようなデザインがなされていなければ心理的な“心地いい”

という満足度も獲得はできない」ことを伝える。

つまり理想的な家づくり手法を「気持ちいい」「心地いい」という二つの

キーワードにそくして学んでいただいているわけだ。

そしてこう説明する「もう一つ基本的に大切なキーワードがあります。それが

“質がいい”ということ。これはご検討中の工務店さんもきちんと備えて

いらっしゃるので安心できると思います」と。

こうやって、家づくりに必要な、心地いい、気持ちいい、質がいいという3つの

お話をして求めていらっしゃる住宅の全体イメージへとアプローチしていただく

ように心がけているのだ。

時にはワークショップを開き、インクルーシブデザインの手法で

建主の心の中に眠っている本当のニーズを一緒になって発見する。

そのニーズやアイデアをビジュアル化するのが、建築家のデザイン能力だ。

プロトハウス事務局では、

建主と建築家、工務店、それに私たち家づくりコーディネーター、さらに

同じくして家づくりを進めている他の建主さんや建築家たちが総出で

家づくりを進めている大きな光景を描き出している。

一昔前はなかったインターネット環境がそれを可能にしているのだと

思う。それはおそらく“特別な”成果だが、それがごく当たり前に

なれば理想的だと思う。

みんなで学びながら、それそれが自分に最適な家づくりの方法や

在り方、システムの組み方を感じ取っていってほしいと思う。

そういう意味で、私はいつまでも一人の平凡な建主でありたい。

その視点を忘れてはならない、と思う。

心は常にニュートラルであるべきだ。それぞれの個性豊かな家づくりを

学びながら進めていただくために、いろんな価値観を尊重したい。

一つだけの価値観を押し付けることに、私はあまり興味がない。

人は自分の価値観で良と判断した人生しか生きることをしない。

その幾多の人生をサポートすることにこそ興味がある。

根底でこんな風に私が考えるのは、きっと学生時代に芝居のシナリオを

書いていたという背景があるからだ。

人生の素晴らしい登場人物たちへ、敬意を表して。




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by yawaraka-house | 2010-12-12 12:30