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常識と当たり前

宮城県の仮設住宅の公募を前に、今朝、魚沼市の佐藤建設さんから

電話があった。

「応募要領を読んでいると、連棟型がいいように思うんですが、

そんなプランもありますか?」

僕は「あります」と答えた。

そんなプランが建築家から提案されないようならば、作ればいい。

福島県に次ぎ岩手県と宮城県が仮設住宅の公募要領を発表したが、

それはいずれも今までのプレハブ仮設住宅の常識の範囲内でしか想定

できないような内容になっているものだった。

岩手県などは、平面図まで添付されていて、この図面を施工する会社は

手を上げて!状態である。

そこには、提案の余地がほとんど伺えない。

宮城県の要領は、三県の中では最も柔軟な見せ方になっているが、

それでも事細かな部位に関して設置義務が設けてあるので、この与件を

満たしていけば、どのプランも最大効率的な間取りになるのは必至と

なるように想像できる。

プランも屋根・外壁・界壁、電気設備、設備機器もすべてに渡ってこれまでに

いかに効率よくプレハブ仮設住宅を建てるかというテーマをもとに

試行錯誤してきた際の留意事項が列記されている。

ここに、官僚的常識が存在する。

僕は一方では、この常識に沿ったプラン提案をしたいと思う。

それで佐藤建設さんが受注できれば、それでいい。

すこしでも地元の事業者の経済復興に寄与できるはずだ。

ただ、最低限のデザインをそこに入れたい。

どれだけ最大効率的な仕様や必要設備でがんじがらめにされようとも、

ちょっとでもデザインが入るだけで、ほらこんなに素敵でしょ!

と、それを実現しなければならない。

また一方では、我々の暮らし方の「当たり前」を提言したい。

必要最低限のインフラを除けば、そんなに設備に依存しなくても

気持ちのいい小空間が出来上がりそこではどんな暮らしができるのか、

我々が「当たり前」と考える生活デザインを提案していきたい。

常識は、制度的でどこかクールな響きを持ち、

当たり前は、腹に響く言葉で感情的なほどの深さを感じさせる。

両者の概念は大きく隔たっていて、ある意味パラレルだが、

清濁併せ呑む姿勢でその溝を溝と感じず我々は想像の翼を広げたい。

本日は、福岡の建築家たちとのミーティング。

さて、どんなプランが登場するのやら。

by yawaraka-house | 2011-04-19 12:14